殺戮の島

wikipedia 大久野島
wikipediaによくまとまっている。
戦前はちいさな漁村だったが、戦中には毒ガス工場となった。
戦後に毒ガスの処分と消毒をした際に、植物も生物も皆死滅したようだ。
そんな痛ましい歴史が、島の至る所で跳びはねるうさぎにも刻み込まれている。
腹水がたまっている者、片眼の潰れた者、
もちろん砒素の影響が現れたものとはいえないのだが……
この島を「うさぎの楽園」として紹介しているホームページも多い。
確かに、かわいらしい兎が島中にいる。
しかし、このうさぎがこの島の支配者になった歴史を忘れてはいけない。


前置きが長くなった。
うさぎだらけの島だと聞いたので
長いこと行きたいと思っていた。
それで今シーズンの旅行先に白羽の矢が立ったというわけ。
うさぎまみれになれるすばらしい島だと思っていた。
実際にそうだった。島に着くと毛玉があると思ったら全部うさぎ。
数十年前にこの島に捨てられた8匹がこの子たちの先祖らしい。
どうやら捨てられた別品種のうさぎがいて、少し違う血も混じっているようだが……
島を歩いて回ってみたが、これはすごい。
うさぎがどこにもかしこにもいる。
飼いうさぎが野生化したものなので、警戒心はすごく強いが、
環境適応というか、うさぎを売りにした観光地となっているので
エサをねだることをよく知っている。
興味があって寄ってくるというよりも
手当たり次第エサをねだって寄ってくるのだ。
「わりゃ、エサを出すんじゃ。」「わしもエサが欲しいのう。」「わしもじゃ。」
はだゲン風に訳すとこういう感じだろうか。


当然エサをくれる人間が集まるところが一番人気で、
この島の生存競争を勝ち抜いている強いうさぎが桟橋の近くや
(フェリーでのみ島に行けるのだ)
唯一の宿泊地である休暇村の前にいる。
どいつもこいつもかわいいので、ねだられるままにエサをやることになる。
ニンジン切ってもってきてやればよかった。確実に人気者になれる。
戦争遺跡である、ガス工場や電力施設の廃墟周辺にもうさぎがいる。
現在人間は立ち入り禁止なので、うさぎの聖地になっていた。
瀬戸内海の島も見える場所があるので、風景もすばらしい。
もし行こうと思うなら、夏以外をおすすめする。
夏はうさぎの活性が極端に低いようなので。
冬は人間が我慢すればいいのだ。風を遮る物がないので風が吹くと寒い。