僕等は何も知らない

昔働いていた会社の社員さんが亡くなったことを知った
病気を抱えた人だったのと、
近くにいなかったことであまり驚きや実感が湧かなかったというのが本心。
今もあの職場にいる人のショックというのは計り知れないが
遠い地にいるとこういう感情の動きが鈍ることを痛感する
短い人生だと知り、その上で人の心に何かを残せるから
ああいう職に就いたのではないか等と勝手な想像をしてしまう
プライベートを殆ど知らないから
どんな為人だったかを職場の姿でしか知らないが
周りに光を与えてくれるような、そんな人だった
僕が辞めるときに「エヴァの劇場版を一緒に見に行こう」と
言ってくれたことを思い出した
そのとき物理的に一緒に見に行くことは出来ないと僕は知っていたが
これからは絶対に出来なくなってしまった。
彼は、見たんだろうか。


知らせてくれた元同僚と話す機会をくれたのは
間違いなく彼の死であって生と生を結びつけるのは死だという
ありがちな皮肉を噛み締めることと冥福を祈ることしか、
僕は知らない。