安住の地

累犯障害者―獄の中の不条理

累犯障害者―獄の中の不条理

獄窓記に続いて山本譲司の本。
こちらはエッセーというよりルポタージュに入る
障害者と犯罪に焦点を絞って記述されている
塀に入るまで、そして出てから罪を犯した障害者はどういう扱いを受けるのか
メディアはタブー視して書かなかった真実があったように思う
自閉症裁判」で取材された「レッサーパンダ男」もこの本で登場するが、
逮捕され素性がわかるとメディアから記述が消えたことも併記されている

同様の悲劇を未然に防ぐには、事件の背景にあるものが一体何だったのかを、
社会全体が直視すべきなのではないか。障害者による犯行だからといって、
その事実を社会から消し去ってしまってもいいのか。

これは「事なかれ主義」の人や
ハンディキャップ=イノセンスと思いたがっている人の
両方に対する警鐘と受け取った方が良いだろう
保護することと理解することはイコールではない。


今年一月に起きた大阪八尾市の男児投げ落とし事件の犯人も、
累犯障害者」であり、やっと受け入れてもらった授産施設から
逃げ出すために犯行に及んだと供述していたという。
触法障害者のケアをしなければこういう悲劇は繰り返される、
一番やりきれないのは被害者だというのは間違いないと本書の後半部にはあった。
社会防衛や優生学的思想に基づいた魔女狩りにならなければ、ともあったが
世論というのは過激な方向に向かいがちである…