エヴィデンス01

優生学と人間社会 (講談社現代新書)

優生学と人間社会 (講談社現代新書)

優生学と人間社会」読了
北欧諸国の福祉については知っているつもりだったが
思った以上に優生思想が福祉手段とされていたのだと…

社会福祉を充実させるためにも優生政策が必要だと考えたのである。
優生政策の実施によって、社会福祉を必要とするような人びとが減少すれば、
その分、彼らにより多くのサービスを、
より人道的なかたちで提供できるようになる、とステイングは主張した。


赤ん坊が生まれたときの「五体満足でよかった」が人道的台詞であるように
これもまた「人道的なかたち」であろう
健常な子供を親なら誰しも望んでいることはわかるのだけど
どうも割り切れないところがある。
時代の変化=遺伝子工学の発達と共に上記のような消極的(予防的)優生学から
積極的(発展的)優生学優生学自体のあり方も変化している
開けてしまった筺を閉じるなんてことは人間はしないので
筺から有意なものだけを取り出すバランスをとっていかないとダメねってお話
ヒトゲノム解読って世の中を変えると思ってたけど
読めただけじゃ別に何も変わらないことを知って拍子抜けした記憶がある
商業主義や過度の合理性から開き直っちゃう国もあるみたいだけど
そもそも未だ解明されていないブラックボックスである以上
遺伝子万能主義も不思議な理屈だ
今はSFのお話でも積極的優生学をテーマにしたものはあるが
実現したとき大して問題にならない気がする
しかし消極的優生学的な利用として
遺伝性の心疾患なんかを(実現可能であれば)出産前に取り除けるなら
10人に9人がそうするだろうな