なぜ私は革命を志すこととなったか

僕が子供の頃、身なりをきちんとした穏やかそうな老人がバスに乗っていた
同じ停留所で降りるので同じ集落であると知り、
そして神主であると家人に聞いた
実家は途方もなく田舎であるので、正装の老人というのは珍しいのだ
かつて教員であり、神主なのだからスーツ姿でいることは
その人にとっては珍しくないのであろうとその頃は思っていたが
少し前に彼が亡くなり、葬儀に出た父の話を聞いた
生前は警察にマークされるほどの共産党系の活動家であり
宗派を越えた友人も多くいたという
神式の葬儀だったのに神父や牧師、僧侶、共産系の弁護士が参列する
闇鍋のような葬儀だったという
結婚したり、歳をとると丸くなり、転向する人が大半の世間で
自分を貫くというのはなかなかできるものではないだろう
きっとその正装というのも何かの会合に出た帰りだったのだと今になって思う