2007-07-14 嘘800 私は彼女に、自分が書こうとしていることはほんとうにあった話だ、 しかしそんな話はあるところまで進むと、 事実であることに耐えがたくなってしまう、 そこで自分は話に変更を加えざるを得ないのだ、と答える。 私は彼女に、自分の身の上話を書こうとしているのだが、 私にはそれができない、それをするだけの気丈さがない、 その話はあまりにも深く私自身を傷つけるのだ、と言う。 アゴタ・クリストフ「第三の嘘」 「あるところ」の手前で止まっていると 不幸ではない記録になり得るのだろうか