癒しブームとは何だったのか

狂気の偽装―精神科医の臨床報告 (新潮文庫)

狂気の偽装―精神科医の臨床報告 (新潮文庫)

ADHD(片付けられない女的な意味で)やPTSD
アダルトチルドレン、トラウマという言葉が定着してきたが

このような「心理学的な」あるいは「精神医学的な」用語が流行語になるのには、
その内容が曖昧でどの人においても起こりそうなことであることが必要である。
したがって、あまり重い症状であることはない。

一時は「鬱病は怠け者の病気」というラベリングが横行していたが
最近ではきちんと病態が理解されるようになり、逆に
擬態うつなんていう概念まで生まれるくらいになった
うつに限らず(自閉症について顕著だと思う)、
言葉だけが先行してその病気(障碍)についての知識は
歪められたまま広まっているように感じる

心理学化する社会 (河出文庫)

心理学化する社会 (河出文庫)

「幻想に騙されて欲望が満たされたと錯覚してはならない」

××心理学というのが流行ったと思ったら
今度は「脳」。モギーとか養老とか脳トレとか。
犯罪(特に未成年)が起こると精神科医とか臨床心理士という
サイコビジネスマンがコメントを求められて、素敵なコメントを出す
今度は脳科学者がコメントを出してくれるだろう

精神医学は科学でも医学でもない。
精神医学とはその時の大衆(社会)が望む欲望の物語を
作り上げる語り手に過ぎない。

崇め奉り方が宗教チックなのはこういうことだったのかあ


ところで、(少年犯罪の主役になった少年の生育歴を報道することについて)

こうした生育歴の問題を語るとき、
僕は人々が自らの健全性をみじんも疑っていないらしい
ということに驚くばかりだ。模試僕自身が性犯罪成り殺人成りを犯していたら、
一体どういうことになるか空恐ろしいほどである。
書斎には(略)できるだけ目立たず平和に暮らしていこうと常々考えているほどだ。

ここを見ている人の半数くらいがそう思っているのでは…


癒しブームの陰にはトラウマ・ストレスの「ブーム」があった
何でもかんでも癒せると思ったら大間違いだろうと
頑張れ頑張れ一辺倒で止まることがなかった中で
「癒し」は確かに斬新な概念だったんだろうが、妙な取巻が増えたなあ
勝手に傷つきそして癒されればいいと思うのだけれども

ターンエーの癒し

ターンエーの癒し

このタイトルにはガッカリだ!
世間一般の癒しは一人で怠けて頑張らないことだと理解しているが
きっと富野は違うはずだっていう
何でもかんでも一人で出来ると思うなよと