自明性の喪失

先日、ふるさとをくださいという映画を見た
障害者の作業所というと知的障害者によるパン屋のイメージがあり、
そしてあまりパンフレットにも書いていなかったので
そのような映画かと思っていたが、精神障害者の作業所の話だとわかってから
展開が読めてきた
登場人物の総てが善人になるラスト以外は良い映画だと思った
ともすれば暗い問題になりがちな事柄を明るく描いている
チケットをくれた人には主人公が僕とダブると言われた
しかし、この手の啓発系映画は結局のところ勧善懲悪の構図になって、
差別が悪であるかのように極端な描き方をする
(映画のように)表面的に差別をする人間よりも、
心の底で(そして心の底から)差別をする人間の方が多いだろう
無知こそが悪だ
そして、この問題に限らないけれども、
マイナスの部分を知らせないというのが差別をなくす方法だとは思えない
例えば精神障害者の犯罪というのは多くないような描き方であったが
精神障害者の検挙名別人員比率は
放火が14.3%、殺人が8.4%と凶悪犯罪が上位を占めるというデータもある
それだけ知れば、偏見も確かに正しいように思える。
だから、偏見を無いものとして乗り越えるのではなく、
「じゃあどうすればいいのか」にもっていかないといけない
映画を終わりにせず、きっかけにするのがよりよい見方なんではないだろうか