二つの獄中記

獄窓記

獄窓記

秘書給与問題で起訴され後に服役した国会議員の本。
因みに捨民党の某議員の話も出てくる
有名人、殊に立法府の人間が裁判を受け服役する中で
得た経験を書いた本はそうそう無いのではないだろうか
山本譲司は刑務作業として寮内工場の指導補助をすることとなる

痴呆症はもちろんのこと、自閉症、知的障害、精神障害聴覚障害視覚障害
肢体不自由など、収容者が抱える障害は、実に様々だった。
それだけではない。寮内工場には、目に一丁字もない非識字者、
覚醒剤後遺症で廃人同様の者、懲罰常習者、自殺未遂常習者といった人たち、
それに、同性愛者もいた。

上記の受刑者のような障害を持つ場合、刑務作業は不可能である
それ以前に自分のことさえままならず刑務官が
介護職員のようなことをしているドキュメンタリーを見たことがある。
氏が為した作業の記述で半数以上を占められているのは「介護」だった。
先に書評した「自閉症裁判」でも訴えられていたが
それら障害を持つ人びとが犯罪者にならないためのセーフティネット
どれほどの機能を果たしているのだろう


刑務所の中

刑務所の中

もう一つの獄中記も有名なものであろう
こちらは刑務所内の生活日記みたいなもの
刑務官が横柄なのは変わらないがどちらにも共通しているのは
刑務官や刑務所というシステムの横暴さ、
抑圧感への批判に塗れた作品ではないということ(ゴチエイも指摘しているが)


余談ではあるが獄窓記の巻末に

本文中、刑務所内の会話等で一部差別的な表現がありますが、
所内の現状をお伝えする観点からそのまま掲載しております。

と但し書きがあった。
そんなことでガチャガチャ言う奴は本を読むなと言いたい