居酒屋作家
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/09/01
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 22回
- この商品を含むブログ (63件) を見る
つい最近まで、自分の名前があまり好きではなかった。
べつに深い理由からではない、なんとなく、響きが実年齢より老けているような気がしたのだ。
小学生のころ光代という名がとんでもなく婆くさく思え、もっと垢抜けた・華やかな・漫画に出てくるような
名前を切望したものだった。
二か月ほど前、女友達と二人でスペインを旅行した。
(略)
職員たちはスペイン語しか話せない。女友達は少しならスペイン語が話せ、
その片言と、あとは身振り手振りの会話中、ふと彼らに名前を訊かれた。
私たちは紙ナプキンに名前を書く。ローマ字と、漢字で。
そこから彼女と彼らがしばらく言葉を交わした。
説明を求めると、名前の意味を訊かれたから知っている単語を言ったと彼女は答えた。
彼女はノートを指し示し、光の世界、と私の名前。海、と自分の洋子という名。
感動した。そんなふうに、一つの名に一つの世界があることなど、気づいたことはなかった。
海という言葉も光という言葉も同様に美しい。日本語はそんな美しさを持った言葉だ。
だれもが一つ、文字によって広がる世界を持っている。
親がくれる多くのものの中で、名前はもっともすばらしい贈り物だと最近思っている。
もちろん、自分の名も。
良いこと言ってる部分はこのエッセーでは多分ここだけ。
それにしても新聞に毎月載せても良いくらい良いこと言ってると思う
昨日恩師にあったときにもこういうことについて話したんだけど
暴走万葉仮名多すぎる。よく考えて思い留まれ!と言いたくなる。
自分の名前に不満とかコンプレックスがあるからそういうことになっちゃうんだろうか。
自分の名前をかなり気に入ってる僕にはない感覚だ。