恒久の動作

魂の駆動体

魂の駆動体

神林長平初挑戦
飛行機SFのイメージが強かったがこれの第一部は自動車の話
ミニの話がよく出てくるのに何故表紙がビートルか!
しかし仮にニューミニだったら焚書ものだ
最近車に乗り始めたのでクルマに対する愛着は以前よりわかるようになった
第一部はバスのような自動誘導装置付きの車両が移動手段として
現代でいわれる自動車(クルマ)を駆逐してしまった近未来の世界で
老人二人がクルマを創造するオハナシ。

生き物のようなエンジンの鼓動がよかった。電気モーターも悪くはなかったが、
そちらは生き物という感じがしない。ガソリンエンジンとは別の乗り物だよ。
(略)
そいつはマクロな生き物というより、ミクロな細胞レベルの運動メカニズムを
模倣して作られたみたいな感じなんだ

先日のモーターショーの様子を映したニュースの中で
電気自動車というのが紹介されていたが車という感じがしない、妙な乗り物だった
作中の「クルマ」という概念は道具的に自動車を見ているか
それとも幾何か趣味の範囲で乗るのかというあたりで解釈が出来るだろうが
まだまだ個人的には愛着も湧かず道具でしかないので
自作パソコンを組上げるときの心情を考えてみたらすんなり飲み込めた
必要に駆られて道具を用いているうちは大した愛着など湧かないと思うが
(クルマが便利だからという理由で乗っているうちは、と読み替えられるだろう)
拘りや嗜好のような、それ以上の何かがあれば道具は道具という枠を越える
そういう魂を持つ人が、僕は好きだ。
いずれそういう車に乗りたいが暫くはいろいろな理由で
あまり好きになれないマーチに乗り続けるだろう


「クルマ魂」を持つ人には是非お薦めしたい一冊。まだ総て読み切っていないが…